クリーンのキャッチについて

クリーンのキャッチやフロントスクワットにおいて、バーを指先で支えるパターンをしばしば見かける。ウエイトリフターでこのパターンの人はほとんどいないが、トレーナーの方が良くやっているイメージ。このことに関する記載やガイドラインは中々見当たらず、正解はわからないが、私は否定派である。

キャッチ (1)指先パターン。顔が険しい??

元々は、私も手関節の背屈の可動域が狭いので、肘を挙げる(屈曲)させるためにも指先でキャッチ時には指先に移行していた(当然、スタートからセカンドプルまではしっかり握っている)。私のクイックリフトの師匠といえる方が、元リフターであり、傷害に繋がる(肩、肘、手首)から握った方が良いと言われてから、握るようにしていた。初期は苦労したが、それなりに可動域は出てくるもので、現在フォーム上問題は無いと思われる。

キャッチ (2)握ったパターン。若干可動域は狭くなるが問題ないレベル。

私が否定派である理由は、
①過背屈で手首を痛める可能性が高いこと。背屈の可動域は通常70°程度。指先でキャッチすることで手関節の背屈の可動域は若干出やすいようです(80~90°弱)。それに伴い、肩の屈曲も出やすくなるかもしれないが、重量が増えれば増えるほど、手首の痛みが出ることは間違いない。クリーンの場合は、手関節の背屈の可動域よりも肩の屈曲が重要と捉えているので、無理やり手の背屈で肩の柔軟性を向上させるよりも肩関節自体の柔軟性を向上させることがより重要と考えます。

②動作に無駄が多いように思える。スタートからセカンドプルまでは普通に握っているはずで、ここで指先に引っ掛けている人は皆無。キャッチの瞬間、指先に移行し、スタートポジションに戻すときには、また握り直す。握力を鍛える分にはいいかもしれませんね。また、クリーンからジャークやプッシュプレスに移行する際も当然、握り直すはずです。それであれば、握ったままで良いのではないかと思います。その方が手首のリスクは少ないはずです。

③指先でしか、キャッチができないような可動域であるなら、クリーンにこだわる必要はないと考えます。ウエイトリフティングという競技であれば、クリーンのキャッチは必要であるが、それ以外のアスリートであれば、こだわる必要はありません。スナッチはクリーンよりも難しいですが、手首はニュートラルポジションになるので(前腕上に位置する)クリーンよりは痛める可能性は低いと思います(肩の問題はまた別)。さらにシンプルにするのであれば、クリーンプルやクリーンハイプル(セカンドプル)でいいと思います。トリプル(フル)エクステンション(解剖学的には正しい言葉では無いですが)からのトリプルフレクションという、加速局面から減速局面という切り返しのトレーニングとして重要な意味も持ちますが、クイックリフトの最大の目的はトリプルフレクションと捉えているので、(ハイ)プルができるようになれば十分効果は上げられます(プルでも切り返しはできるし、重量もより高重量にできるので、姿勢筋群の負荷は上がる)。

別の話にはなりますが、クリーンのキャッチを完成させるには少々時間がかかるので、その際に腰痛を発する可能性も無きにしも非ずです。

④そもそもウエイトトレーニングは、筋や関節を鍛えますが、痛みを我慢するものではないはずです。痛みがあるということは、通常エラーがあるか、構造上無理をしているということです。

指先云々言うよりも、キャッチで肩の上にバーベルを降ろせる技術がより重要かもしれません。そうすることによりモーメントアームも最小になり障害リスクはかなり減少するはずです。それでも指先よりは握った方がさらにリスクは軽減すると思います。

少なくとも私自身は指先ではキャッチしないし、指導もしません。特に現在見ている水泳とボクシングの選手には絶対指導しません。水泳の選手は手の可動域は持っていますが、言い換えると弛緩性が高いので、下手に指先でキャッチすると通常よりも痛めやすいです。その痛みから感覚が狂う可能性が高く、スイム練習に影響が出てしまうかもしれません。競技特性も踏まえ、スナッチまたはスナッチプルで対応することが多いです。ボクシングの場合は、手首は柔軟性よりもStabilityの方が重要なので、クリーンプルを多用します(トレーニング時間も限られているので)。当然、手首を痛めるということは競技特性上、致命的です。

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